令和も覇権

劇場版名探偵コナン25作目「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」

観ました???全人類観ましたか????

 

もう…もうあまりにも…あまりにも面白くて、初見時本気で真っ暗な劇場内で天を仰ぎました。やべーーーーーー名作が爆誕してしまった…。

シンプルにストーリーがめちゃめちゃ面白い。最初から最後までずっと面白い。加点しかない。すごすぎる。見終わったあと、「最高」「面白かった」しか出てこなくて困った。何から何までよく出来ていてどこから拾って語ればいいかわからない。全方位に面白い。そんなことある??

 

劇場版22作目の「ゼロの執行人」も私は相当に好きだったのですが、同じかそれ以上に脚本力があって、でもゼロシコの時は“安室透”というキャラ人気が先行してしまっていたので(あんなの見せられたらそりゃ狂うのでしょうがない)、今作がしっかりストーリーの面白さで話題になっているの、本当に嬉しいです。

 

 

 

以下ネタバレ

 

 

高木刑事、めーーーーちゃめちゃ好きキャラなのですが、まさかこんな日が来るとは。劇場版のメインビジュアルに!公開直前の金曜ロードショーでは本庁刑事恋物語を放送!高木刑事のシンデレラストーリーとしても完璧。笑

私がTV放送をリアルタイムで見ていた頃を思うと、ほんとーに大出世だ。

高木刑事と佐藤刑事、2人がお付き合いをスタートするまで、そらもう色々あってすったもんだの末にくっついたわけですが(ちびっ子時代に見ていた時は白鳥ィ!ジャマすんな!と思っていたし、ずっと白鳥刑事がこの世界の黒幕なのだと思っていた…)(ミスリードに素直に踊らされるかわいげがあった頃)、コナン界の貴重な大人の恋人同士として(しかも幼馴染じゃない)いつもと違った恋模様が垣間見えるのは楽しいですね。

最後のキスシーンも原作のオマージュばっちりだったし(いつも2人のキスを目撃するのは少年探偵団なのだ…)こんな大人のキスを濃厚に映す名探偵コナンの客層どこ〜〜!??!?昔からこっぱずかしいシーンではキャー///と思っていたが、この歳になってもなおいっそう恥ずかしい、これこそコナンなんだよな。。

いつも新一と蘭の絶対的運命大恋愛ばかり供給されているので、過去の男を忘れられない女とそんな彼女を丸ごと愛する度胸をもった男という、コナン界における一味違った大人カップルの醍醐味を余すことなく味わえました。 

高木刑事自身も過去に心から尊敬する教育係の伊達刑事が目の前で車にはねられるし伊達さんの婚約者も後追い自殺しちゃうしでトラウマエベレスト級の過去があるわけですが、それを胸に刑事を続けられる強さたるや。一方でお人好しと言われるくらい温和なところが人に好かれる所以なのだろうな〜。(ゼロの執行人で高木刑事がコナンに「こんなこと言っちゃいけないけど、民間人に被害が出なかったのは不幸中の幸いだよ」って何も嬉しくなさそうに語るシーンがすごく好き)恋愛ごとに関してはヘタレなところもあるのに、警察官としての心の強さは誰にも負けない。熱くなりすぎる佐藤刑事を決して一人にせず軌道修正してくれるのはいつも高木刑事なの、良いですよね〜〜〜〜〜いちばん佐藤さんのこと見てるのは高木くんなので…光の男・高木渉

美和子の「柴犬とドーベルマンを足して2で割ったかんじ」とかいう無茶苦茶な説明を解読できるのはこの世で渉だけ!(またこの変装すると松田陣平そっくりになるとかいう設定の罪深さよ)

僕が好きになったのは、刑事の佐藤美和子だ!と言える真っ直ぐさと愛情深さ、間違いなく佐藤刑事の心を射止めるに足る魅力です。

 

そして今作描かれるもう一つの“過去”、警察学校組。

まあまあ前からいる重要キャラ・赤井秀一、その赤井のために用意された“降谷零”、そしてそのれいくんのためにさらに用意された警察学校組こと松田陣平・萩原研二・諸伏景光・伊達航の面々。

ちょうどTV放送の警察学校編・萩原研二を見てから3回目のハロ嫁観に行ったのですが、連綿と続く「アイツならどうするだろう」という想い、命の瀬戸際で思い浮かぶのはいつも親友の言葉で、その言葉をすっかり信じ切れる関係性…強い強い強い。“幼馴染であり親友”という関係性が魂に刻まれている男たちよ……そしてれいくんは本当にこの4人の全てを受け継いで今日まで生きているのだなという感慨が胸に湧き溢れて、とどめのようにエンディングのクロノスタシスが流れ始めたところで限界を迎えてしまった。

悲しみや切なさをあそこまで清々しく歌い上げられるのはBUMPならではですよね。(しかし幼馴染大渋滞作品の主題歌を幼馴染バンドが飾るのどういうつもり!?ってなってしまう…どういうつもりですか?ありがとうございます)

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クロノスタシス、明確に失くしてしまったものの歌なんだけど、喪失感に苛まれるよりも確かに在った日を慈しむ曲であるのが、れいくんの同期4人を亡くした後の人生観と重なるようで、染み渡る。。

降谷零、あまりにも孤独が似合う男なわけですが、“一人で孤独を抱えられる強さ”と公式見解があるように、同期4人と過ごした日々も得た知識も技術も全てれいくんの中で生きていて、ただもう二度と会えないだけ、という孤独が“孤高の公安警察ゼロ”としての輝きを増している要因なのですよね。こわいよこんな設定を今さら付与してくる青山剛昌御大が…

 

いや名探偵コナンって私の生まれた頃から連載してて、リアルタイムにアニメを見てた頃は、蘭にバレる!?黒の組織灰原哀服部平次!キッド!くらいのエッセンスだったはずなのに、大人キャラ増員して(しかもみんなワケあり)歳を重ねたかつてのコナン世代を今もなお巻き込んでくるの、そりゃ令和も衰えないですよ勢い…

推理漫画の金字塔として以外の魅力をまだまだ盛れる強度がある「名探偵コナン」、コンテンツ力の鬼か。

そもそも作品内での時間軸が我々が過ごした年月よりもずっと短いスパンなので(新一が失踪してから半年しか経ってない)死んだキャラの死ぬ前の日常が苛烈なスケジュールで増やされていくおそろしい作品であり、死んでるキャラだからこれ以上ストーリー増えないだろと思って安心して飛び込むと痛い目見るの笑う。軽率に狂わせてくるじゃんこっちの人生を。

 

ちなみに私は警察学校組でいちばん好きなのはれいくんの幼馴染・ヒロこと諸伏景光ですね…大人になると前髪も伸びるし髭も生えるヒロis何?あんなにかわいい顔してたのにそんな急に雄みを出されると…困る…育ちのいい男が吐く「クソッ」は最高。

階段を駆け上がってプラーミャの肩を打ち抜きゼロを助けたヒロ、階段を駆け上がる音がヒロを追い詰めてしまったゼロ、いやまさかそんな対比ではないよな…これは私の考えすぎだよな…と思いながら心臓きゅっとなったシーンでもあった。そんで最後ヘリ戦闘シーンで躊躇なく一発目にその肩を狙っていくれいくん…!!!お前はそういう男だ!!いけ!やれ!!そのプラーミャの肩にはヒロが打ち込んだ弾丸が残ってる!!!

 

探偵モノにおける警察って主人公である探偵キャラのおまけ的要素が強くなりがちですが、コナンに登場する刑事たちはみんな一人一人が魅力的で己の正義をもって職務を全うしているので、スピンオフや横軸の話が増えるのも分かるというか、もれなく全員に幸せになってほしくなっちゃう。ハードボイルドな面もありつつ、なんとなく作品全体を貫く明るさみたいなものはそういうところから生まれているんだろうなと思います。

 

あとクライマックスで巨大サッカーボールをスケボーで駆け上がる江戸川コナンに、いっけぇーーー!!と声をかけるのが少年探偵団なの激アツなんだよなあ。コナンくんにいけー!コナンー!と言えるの、少年探偵団しかいないですからね。応援上映があったら間違いなく観客の心が一つになるシーンだったろうな。

最後はコナンのアクションで締めるぜ!という気概。劇場版コナンの様式美。
そしてかかる「うつむーくーその背中にー♪」の挿入歌。この曲大好きなんだけど近頃さっぱり劇場版ではかかっていなかったのでかなり久しぶりに聞いた気が。
コナンといえばこの曲、見せ場でかかる曲といえばコレ。
ハロ嫁バージョンのイントロも好きです。パー! パー↑ パー↑↑のとこね。(瞳の中の暗殺者verも好きです)もうこの曲かかると否が応でもテンション上がるよう幼少期から植え付けられている…

 

絶対に興行収入100億いって劇場版コナン史上に爪痕残してほしいな今作。
まじのまじで大傑作だったので。

近年の安室透人気に便乗するかんじか〜〜?などと斜に構えてた前評判を跳ね除ける快作ぶり、燃えた公式投票企画なんてすっかり忘れるくらい純粋に出来の良い作品であったこと、劇場版コナンの作風として間違いなく新たな境地に達したと思います。

初期7作の分厚い壁を乗り越えるのではなく、時代と顧客のニーズに応えた完璧な新時代の劇場版としてここに完成した「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」を、ぜひ映画館でご鑑賞あれ。

 

その他おもろシーン

・その貴族イスは一体…!?!あとトイレどうしてんの??
・劇場版ではいつもボロボロな風見
・今作もキャラみんなの衣装がかわいい
・開幕から華麗な背負い投げを決める毛利小五郎
・子供を守るために躊躇なく車道に飛び込める男こと毛利小五郎
・麻酔に耐性ついちゃってるかわいそうな毛利小五郎
・隅々まで毛利小五郎を楽しめる毛利小五郎満漢全席
・今作の軸となる高木&佐藤、警察学校組で出演キャラいっぱいいっぱいなので蘭とおっちゃんは出番減らすしかないんだが退場のさせ方がスマートすぎて拍手喝采
・ハロウィンバイト達もっと覇気のある声出せ
・道に散らばったお菓子を拾うんじゃありません
・いやまじでそのお貴族様の座るイス何????誰が用意したの??風見?

 

 

余談ですが、こんな世界情勢下でロシアの爆弾魔やらなんやら大丈夫か!?と一瞬思ったのですが(まあこれ作ってた頃も公開間際でさえも、こんな世界になるとは誰も想像してなかったけど)最後まで観ればちゃんと、みんなで協力し合って危機を乗り越えるという形に収まっていたので良かった。

エレニカを止められたのは、コナンがあの姿だったのが相当大きいと思うので、いつもの工藤新一の仮の姿ではなく“江戸川コナン”の姿に意味が込められていたのも、とても印象的だったな。

 

死者が還ってくる日に相応しく、亡くなっていったキャラ達が今なお生きる彼らを救ってくれる物語でした。